絵画で読み解く

民衆社会、市民社会の中を歩く

2023-01-01から1年間の記事一覧

最晩年にヨルダーンスを模したゴッホ

フィンセント・ファン・ゴッホ『牛(ヨルダーンスを模して)』1890年6月〜7月、リール美術館蔵 ヤーコブ・ヨルダーンス『習作、5頭の牛』リール美術館蔵 リール美術館にあったヤーコブ・ヨルダーンス(1593ー1678)の習作の絵を、医師ガッシェがコピーした…

アイロンをかける女に、近代市民社会の全重力がのしかかる

パブロ・ピカソ『アイロンをかける女』1904年、ソロモン・R・グッゲンハイム美術館蔵 下層階級の民衆の姿は、初期のピカソでは陽気さを失う。女はアイロンをかけてるというのではなく、アイロンに縛り付けられているのだ。細い身体に近代市民社会の全重力が…

社会の底辺で働く人々に美を発見したドガ

エドガー・ドガ『アイロンをかける二人の女』1884〜86年頃、オルセー美術館蔵 ドガの描く洗濯女たちは、うんざりしながら、それでもたくましく仕事をしていた。近代市民社会の底辺で働く人々に、ドガは新しい美を感じ、表現しようとしたのだ。

ステップを踏むかのような洗濯女

フェリックス・ヴァロットン『洗濯女』1895年、個人蔵 ピエール・ボナールに引き続き、同じナビ派のフェリックス・ヴァロットンによる「洗濯女」。まるで跳ねるように洗濯女はパリの街を行く。重い洗濯物を抱えながら、足取りはステップを踏んでいるようだ。

日本かぶれのボナールの絵

ピエール・ボナール『小さな洗濯女』1891年、オルセー美術館蔵 ボナールは「ナビ・ジャポナール」(日本かぶれのナビ、日本的なナビ)と呼ばれた。 ナビはヘブライ語で預言者を意味する言葉。ナビ派(ナビは、Les Nabis)は、19世紀末のパリで活動した、前衛…

17世紀オランダで描かれた民衆生活

ヘラルト・テル・ボルフ『石臼挽き職人の家族』1653-55年頃、 ベルリン絵画館蔵 17世紀オランダ絵画黄金時代の絵画。落ち着いた民衆生活が描かれている。民衆生活が価値を持ったものとして描かれるようになる。

糸紡ぎで運命をつかさどる老婆

フランシスコ・デ・ゴヤ『糸紡ぎをする老婆』1819年、メトロポリタン美術館蔵 1819年にゴヤはマドリード郊外に「聾者の家」と通称される別荘を購入した。この「聾者の家」で14点の「黒い絵」のシリーズが描かれる。この絵は別荘を購入した時期に描かれたもの…

はじめまして

ヨハネス・フェルメール『レースを編む女』1669〜70年頃、ルーブル美術館 日常の中に潜む「永遠」という時間。大きなテーマではなく、日常生活のささやかな時間がていねいに描かれている。