絵画で読み解く

民衆社会、市民社会の中を歩く

最晩年にヨルダーンスを模したゴッホ

フィンセント・ファン・ゴッホ『牛(ヨルダーンスを模して)』1890年6月〜7月、リール美術館蔵

ヤーコブ・ヨルダーンス『習作、5頭の牛』リール美術館蔵

リール美術館にあったヤーコブ・ヨルダーンス(1593ー1678)の習作の絵を、医師ガッシェがコピーしたドライポイントをもとに描いたようだ。

ゴッホは1890年7月29日に亡くなているので、最晩年の作品の一つだといえる。

ヨルダーンスはアントウェルペンの人で、現在の国としてはベルギーということになるが、ベルギー、オランダはネーデルラントが二つに分裂しただけの土地なので、ゴッホにとっては故郷の匂いのする画家に違いない。

ヨルダーンスの作品を模しながら、ゴッホネーデルラントの土の匂いを味わっていたのではないだろうか。