
仔牛が井戸に溺れたとき、何をすべきか。
仔牛を助け出すのではなく、仔牛を溺れさせた危険な井戸を埋めてしまう。
仔牛は助からないし、貴重な井戸を失うことになる。
はじめから井戸を埋めてしまえば?
みんなが井戸を利用できなくなるし、仔牛の自由な遊び場も少なくなってしまう。
なによりも、仔牛は危険に対処する術を学ぶことができなくなってしまう。
仔牛が途方に暮れて私を見ている。仔牛が溺れたあとで、井戸を塞いでも、何の役にも立たない——後悔先に立たずの意——
『ネーデルラントの諺』(1559年)では、農夫は仔牛と目を合わすこともなく、井戸もろともに仔牛を埋めていく。

仔牛が溺れたあとで井戸を埋める
井戸を埋めたからといって仔牛が生き返るわけでもない。
そんなことにお構いなしに、井戸を埋めるべきかどうかという議論が延々と続く。
ブリューゲルの悔しさが伝わってくる。